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「マイ・インターン」が気持ち悪い?物語のあらすじや名言5選、映画のテーマ性など深掘り解説

2025-04-17

ナンシー・マイヤーズ監督が描き、アン・ハサウェイとロバート・デ・ニーロという豪華キャストで贈る映画「マイ・インターン」。世代を超えた交流を描き、多くの観客の心を温かくした一方で、インターネット上などでは「気持ち悪い」「違和感がある」といった感想も散見されます。なぜ、心温まる物語のはずが、一部でそのような否定的な受け止められ方をしてしまうのでしょうか?

この記事では、背景にある視聴者の感情や疑問に深く切り込み、その理由を多角的に考察します。さらに、映画の基本的な情報であるあらすじ、魅力的なキャスト陣、心に響く名言、そして「さよなら」という言葉が象徴するテーマ性についても、より詳細な解説を加えていきます。

目次付き記事

なぜ「マイ・インターン」が「気持ち悪い」と感じる人がいるのか?

多くの共感を呼んだ一方で、なぜ一部の視聴者はこの映画に「気持ち悪い」というネガティブな感情を抱いてしまうのでしょうか。その背景には、現代的な視点から見た際のいくつかの要因が考えられます。具体的な理由をさらに掘り下げてみましょう。

世代間のギャップと価値観の押し付け?

古き良き時代の“紳士”は現代では…

主人公の一人、ベン(ロバート・デ・ニーロ)は、まさに「古き良き時代」を体現する紳士です。彼のスーツの着こなし、常に携帯するハンカチ、女性への丁寧なエスコートなどは、一見すると魅力的です。しかし、現代のフラットな人間関係や多様性を重視する価値観から見ると、彼の言動は時に過剰で、お節介、あるいは「価値観の押し付け」と受け取られかねません。

例えば、ジュールズや同僚の服装に対してさりげなく意見する場面や、ハンカチを持たない若者を諭すような態度は、親切心からだとしても、現代のビジネスシーンや個人の自由を尊重する風潮の中では、やや時代錯誤で、介入しすぎていると感じる人もいるでしょう。特に、個人の選択やスタイルへの無意識の言及は、ハラスメントと捉えられかねない側面も持っており、こうした点が「気持ち悪い」という感覚に繋がる可能性があります。ベンの善意が、受け取る側によっては息苦しさや不快感を生むのかもしれません。

ベンとジュールズの関係性への違和感

70歳の男性インターンであるベンと、若き女性CEOジュールズ(アン・ハサウェイ)の関係性は、物語の核であり、多くの感動を呼びます。それはまるで、理想的な父親と娘、あるいは頼れる祖父と孫のような、温かい師弟関係であり友情として描かれています。しかし、この関係性を現代的な視点、特に職場におけるパワーバランスやジェンダーの観点から見ると、いくつかの点で違和感や不自然さを覚える視聴者がいるのも事実です。

ベンは、単なる業務上のサポートを超えて、ジュールズの私生活に深く関与していきます。彼女のドライバーを務め、家庭内の問題(夫の浮気など)の解決にまで踏み込み、時には彼女の自宅にまで上がり込みます。これらの行動は、ジュールズを支えたいという善意に基づいているものの、雇用関係にある年上の男性が、若い女性上司のプライベートな領域にここまで介入することは、現実の社会では非常に稀であり、公私の境界線を曖昧にし、依存的な関係性を助長しているようにも見えます。この距離感の近さ、特に異性間の関係における境界線の曖昧さが、「気持ち悪い」「不健全だ」と感じられる要因となり得ます。

理想化されすぎたシニア像?完璧すぎるヒーローへの疑問

ベン・ウィテカーというキャラクターは、知識、経験、冷静さ、コミュニケーション能力、さらにはITスキルまで兼ね備えた、まさに「完璧なシニア」として描かれています。彼はどんな問題にも動じず、常に的確なアドバイスを与え、周囲の人々を円満に導きます。しかし、この完璧すぎるキャラクター造形が、かえって非現実的で、一部の視聴者にとっては「気持ち悪い」「不気味」と感じさせる要因になっているのではないでしょうか。

人間なら誰しもが持つであろう弱さ、欠点、迷いといった側面がベンにはほとんど描かれていません。あまりにも都合よく状況を好転させる彼の存在は、物語を円滑に進めるための装置のように見えてしまい、生身の人間としてのリアリティが感じられないのです。このような理想化されすぎたシニア像は、現実の高齢者に対する過度な期待を生む可能性や、逆に「こんな人はいない」という冷めた視線に繋がり、共感しにくいキャラクターとして「気持ち悪い」という評価を受ける一因となっているのかもしれません。

映画「マイ・インターン」あらすじ

ここで改めて、映画「マイ・インターン」の魅力的なストーリーラインを、もう少し詳しく振り返ってみましょう。

ベンとジュールズが話している場面

世代を超えた出会いの物語

舞台はニューヨークのファッション通販サイト

物語の舞台は、ニューヨーク・ブルックリンにある急成長中のファッション通販サイト「ABOUT THE FIT」。創業者でありCEOのジュールズ・オースティン(アン・ハサウェイ)は、わずか1年半で会社を成功軌道に乗せた若きカリスマ経営者です。しかしその裏では、24時間体制で仕事に追われ、家庭との両立に悩み、押し寄せるプレッシャーに押しつぶされそうになっています。特に、投資家からは経営安定化のために外部から経験豊富なCEOを雇うよう提案され、自身のアイデンティティに関わる大きな決断を迫られています。華やかな成功の陰で、現代女性が直面するリアルな葛藤が描かれています。

70歳のインターン、ベン・ウィテカーの登場

そんな多忙を極めるジュールズの会社に、地域貢献プログラムの一環である「シニア・インターン制度」を通じてやってきたのが、70歳のベン・ウィテカー(ロバート・デ・ニーロ)。大手電話帳会社で長年勤め上げ、役員まで務めた彼は、引退後の穏やかながらも単調な日々に物足りなさを感じ、再び社会と関わり、誰かの役に立ちたいという思いからインターンに応募しました。最初は、最新のテクノロジーや若者中心の社風に戸惑いを見せるベン。ジュールズ自身も、高齢のインターンをどう扱っていいかわからず、やや持て余し気味です。しかし、ベンの豊富な人生経験からくる洞察力、丁寧な仕事ぶり、そして何より温かく誠実な人柄は、次第に社内の若いスタッフたちの心をつかみ、職場に落ち着きと新たな視点をもたらし始めます。

ベンとジュールズ、世代を超えた友情

当初はベンとの関わりを最小限にしようとしていたジュールズですが、ある出来事をきっかけに、彼の人間性や能力に気づき始めます。散らかり放題だったデスクをベンが整理整頓してくれたこと、的確なアドバイスで仕事の危機を救ってくれたこと、そして何より、自分の弱さや悩みを真摯に受け止め、否定せずに耳を傾けてくれる彼の姿勢に、ジュールズは徐々に心を開いていきます。ベンは単なる部下やアシスタントではなく、ジュールズにとって頼れる相談相手、メンター、そして時には父親のような温かい存在となっていきます。一方、ベンもジュールズの情熱や才能、そして現代的な働き方に触れることで、新たな刺激と生きがいを見出します。二人の関係は、互いを尊重し、支え合い、共に成長していく、世代を超えた美しい友情へと発展していくのです。

魅力的なキャスト陣

キャストの集合写真

この物語を感動的にしているのは、素晴らしい俳優陣の演技があってこそです。主要なキャストを改めてご紹介します。

登場人物に命を吹き込む俳優たち

ベン・ウィテカー役:ロバート・デ・ニーロ

「ゴッドファーザー PART II」や「レイジング・ブル」などで見せた硬派な役柄のイメージが強いロバート・デ・ニーロですが、本作では、そのイメージを覆すような、温厚でチャーミング、そして包容力のあるシニア男性、ベン・ウィテカーを完璧に演じきっています。彼の穏やかな表情や佇まい、そして時折見せるユーモアが、ベンのキャラクターに深い説得力と魅力を与え、観客を惹きつけます。彼の存在そのものが、映画の格調を高めていると言えるでしょう。

ジュールズ・オースティン役:アン・ハサウェイ

「プラダを着た悪魔」でファッション業界に身を置く役柄を演じたアン・ハサウェイが、本作では若き女性CEOとして、仕事と家庭、そして自身のキャリアに葛藤するジュールズを等身大で熱演しています。成功者の華やかさだけでなく、その裏にあるプレッシャー、不安、孤独感といった複雑な感情を繊細に表現し、多くの働く女性から共感を集めました。彼女が着こなす洗練されたファッションも、映画の大きな見どころの一つです。

その他の登場人物

物語を豊かにする個性派たち

ジュールズの夫で、育児のためにキャリアを中断しているマット(アンダーズ・ホーム)は、現代的な夫婦関係の難しさを体現しています。また、ベンに想いを寄せることになる社内マッサージ師のフィオナ(レネ・ルッソ)は、大人のロマンスを予感させ、物語に華を添えます。さらに、ベンのユーモアと知性に惹かれる若い同僚たち、ジェイソン(アダム・ディヴァイン)、ルイス(ジェイソン・オアリー)、デイビス(ザック・パールマン)といった面々が、コミカルなやり取りで場を和ませ、世代間交流の楽しさを伝えています。彼ら脇役たちの存在が、物語に奥行きと温かみを与えています。

心に残る名言集

ベンがハンカチの重要性を話す場面

映画「マイ・インターン」には、日々の生活や仕事の中でふと思い出したくなるような、心に響くセリフが散りばめられています。特に印象的なものをいくつか、その背景と共に紹介します。

人生と仕事へのヒント

ベン・ウィテカーの名言

経験に裏打ちされた言葉

  • 「正しい行いは、決して間違っていない。」(You're never wrong to do the right thing.) ジュールズが倫理的に難しい決断を迫られた際に、ベンが彼女を勇気づけるために送った言葉です。シンプルですが、彼の誠実さ、そして人生哲学が凝縮されています。迷った時に立ち返りたい、普遍的なメッセージです。
  • 「ハンカチは貸すためにある。それが一番の使い道だ。」(The best reason to carry a handkerchief is to lend it.) 涙を流す同僚に、さっとハンカチを差し出すベン。このセリフは、単なるマナーの話ではなく、常に他者を気遣い、手を差し伸べる準備ができているという、彼の利他的な精神性を象徴しています。
  • 「経験は決して時代遅れにならない。」(Experience never gets old.) 年齢を重ねることをネガティブに捉えがちな現代社会において、経験が持つ普遍的な価値を力強く肯定する言葉です。ベンの存在そのものが、この言葉を証明しています。シニア世代だけでなく、若い世代にも勇気を与える一言です。

ジュールズ・オースティンの名言

成長と変化の証

  • 「私はまだ学んでいる途中なの。」(I'm still learning.) 若くして成功を収めたジュールズですが、決して驕ることなく、常に謙虚に学び続けようとする姿勢を示すセリフです。完璧に見える彼女の人間的な一面が垣間見え、共感を誘います。
  • (ベンに対して)「あなたが必要よ。」(I need you.) 物語の序盤では、ベンをやや厄介者扱いしていたジュールズが、彼への信頼と感謝を素直に表現するようになる、感動的なセリフです。彼女が自身の弱さを受け入れ、他者に頼ることを学んだ、大きな成長の証と言えるでしょう。この一言が、二人の絆の深さを物語っています。

「さよなら」が意味するもの

映画の中で「さよなら」という言葉が直接的に多用されるわけではありません。しかし、登場人物たちの経験する変化、下す決断、そして乗り越える困難を通して、「何かとの別れ」や「過去への決別」、そして「新しい始まり」といった、「さよなら」が内包するテーマが深く描かれています。

物語における変化と選択

過去の自分への「さよなら」

ジュールズは、会社の将来のために、自分が情熱を注いで築き上げてきたCEOの座を外部の人間に譲るべきか、という極めて重大な選択を迫られます。これは、彼女のアイデンティティそのものに関わる問題であり、もしCEOを譲れば、それは創業者としての自身の役割の一部に「さよなら」を告げることを意味します。また、ベンとの出会いを通じて、彼女は仕事だけに没頭してきた自身の生き方、夫との関係におけるすれ違い、そして完璧であろうとしすぎていた自分自身と向き合うことになります。これらの葛藤を経て、彼女はより柔軟で、人間らしい強さを持ったリーダーへと成長していきます。これは、ある意味で、未熟だった過去の自分、意固地になっていた自分への「さよなら」と言えるでしょう。

映画が問いかける「働くこと」「生きること」

固定観念への「さよなら」

一方、ベンは長年勤めた会社を退職し、穏やかな引退生活を送っていましたが、その日々に「さよなら」を告げ、70歳にして再びインターンとして働く道を選びました。彼の選択と生き生きとした姿は、「高齢者は引退して静かに暮らすべき」といった社会的な固定観念や、「若者でなければ新しいことは学べない」といった年齢に関するステレオタイプに、鮮やかに「さよなら」を突きつけます。この映画は、年齢や性別に関わらず、誰もが社会との繋がりを持ち、誰かの役に立つことから喜びや生きがいを見出せること、そして、変化を恐れずに新しい挑戦をすることの素晴らしさを力強く描いています。古い価値観や自分自身で設けた限界に「さよなら」し、より豊かで自分らしい人生を歩むことの重要性を、私たちに問いかけているのです。

まとめ

多様な視点から「マイ・インターン」を味わい、自分なりの答えを見つけよう

映画「マイ・インターン」は、心温まる感動的なストーリー、ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイをはじめとする魅力的なキャストの好演、そして人生やキャリア、世代間の繋がりについて深く考えさせられる普遍的なメッセージが詰まった、多くの人々に愛される作品です。その一方で、本記事で考察してきたように、一部の視聴者が「気持ち悪い」と感じるような、現代的な視点からは違和感を覚える側面(世代間の価値観のズレ、理想化されすぎたキャラクター描写、公私の境界線の曖昧さなど)が存在することも否定できません。

しかし、このように肯定的な意見と否定的な意見の両方が存在すること自体が、この映画が単純なハートフルコメディにとどまらず、現代社会が抱える様々なテーマ(エイジズム、ジェンダー、ワークライフバランス、世代間ギャップなど)に触れ、多様な解釈や議論を生むだけの深みを持っている証拠と言えるでしょう。

「気持ち悪い」と感じた人も、そうでない人も、ぜひこの記事で提示された様々な視点を参考に、改めて映画を見返してみてはいかがでしょうか。そして、あなた自身の目で確かめ、感じ、考え、「マイ・インターン」が問いかけるものに対する自分なりの答えを見つけてみてください。きっと、新たな発見や共感が待っているはずです。ください。きっと、リクとシュヴィが命を懸けて遺したものの意味を、あなた自身の心で感じ取ることができるはずです。

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更新日: 2025-05-04

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