作品紹介

あらすじ

不動明はごく普通の高校生でしたが、親友の飛鳥了から「悪魔が人間を支配しようとしている」と知らされます。悪魔は人間に憑依して体を乗っ取り、世界を混乱に陥れていました。了は「悪魔の力を持ちながら人間の心を保つ存在=デビルマン」になるよう明に提案します。
明は悪魔アモンと合体し、デビルマンとして覚醒。人間を守るため、悪魔との激しい戦いに身を投じます。明は牧村美樹やその家族を守るために奮闘しますが、やがて人間たちは悪魔に対する恐怖からデビルマンを危険視し、排除しようとします。
戦いの中で明は仲間や愛する人を失い、ついには人類と悪魔の全面戦争に巻き込まれていきます。明は最後の決戦に挑みますが、待ち受けていたのは衝撃的な結末でした。
オープニング
エンディング
最終回が「ひどい」と言われる理由

美樹の無残な死
物語終盤で、人間たちは悪魔への恐怖から暴徒化し、美樹やその家族、友人たちを襲います。美樹は暴徒によって惨殺され、その首が槍に突き刺された状態で晒されるという非常に残酷な展開が描かれます。明は彼女を救おうと奮闘しますが間に合わず、無惨な姿の美樹を目にして絶望します。このシーンは「トラウマ級」と言われるほど強烈な印象を与えました。
明と了(サタン)の戦いの結末
最終決戦で、デビルマン軍団は次々に倒され、明も最終的に了(サタン)との戦いに敗れます。サタンは明を愛していましたが、戦わざるを得なかったという複雑な感情を抱えており、結果的に明が命を落とすことで了は深い後悔と悲しみに苛まれます。サタンが倒した相手が「愛した存在」だったことが、観る者に強い衝撃を与えます。
救いのない終わり方
明が死に、デビルマン軍団が壊滅し、悪魔と人類の戦いが終結した後も、地上には何も残りません。地球は崩壊し、生き残ったのは了(サタン)ただ一人だけ。了は死んだ明の体に寄り添いながら、「愛していた」と涙を流しますが、すでに明は戻らないという絶望的な状況にあります。愛する者を自らの手で殺してしまったサタンの心情を考えると、視聴者に重く悲しい余韻を残します。
人間の愚かさと残酷さ
物語では、悪魔の脅威よりも「人間の恐怖と憎しみ」が多くの悲劇を生み出します。人間は悪魔に対抗するどころか、同じ人間同士で疑心暗鬼になり、争い、殺し合います。美樹やその家族も人間によって惨殺されるなど、「人間こそが最大の脅威だった」というメッセージが強く込められています。この「人間の本質」が露呈する展開が、非常に重く辛い印象を与えます。
結局、すべてが無意味に終わる
明が命をかけて人間を守ろうとしたにもかかわらず、人間はその恩を仇で返し、結果的にデビルマン軍団は全滅し、明も死亡。悪魔と人間の戦いに「勝者」はおらず、ただ虚無が残るだけの終わり方となります。「明の努力や戦いは無駄だったのか?」と視聴者に重い疑問を残しながら幕を閉じます。この救いのない結末が、「ひどい」と言われる大きな理由となっています。
つまり、『デビルマン』の最終回は「単に悲しい」だけでなく、「人間の愚かさや残酷さ」「愛する者を殺してしまった後悔」「無意味に終わる戦い」というテーマが強烈に打ち出されているため、多くの視聴者にとって「衝撃的」かつ「胸が痛くなる」終わり方だったのです。この「後味の悪さ」が最終回を「ひどい」と言われる最大の理由になっています。
連載が打ち切りになった真相
『デビルマン』の原作漫画は、暴力描写や宗教的要素、性描写が過激すぎると批判されました。特に、美樹の死や人間が悪魔化するシーンなどが社会問題となり、PTAや教育機関から強い抗議が殺到しました。
出版社側は「社会的影響を考慮するべき」と永井豪に圧力をかけ、最終回を迎える形で連載が終了しました。永井豪は「本当の終わりを描ききれなかった」と語っており、原作が中途半端な形で終わったことを悔やんでいます。
人気のシーン

明がデビルマンとして覚醒するシーン(第1話)
飛鳥了の導きにより、明は悪魔アモンと合体しデビルマンとして覚醒します。飛鳥了は明をパーティーに誘い、そこでは人間に憑依した悪魔たちが正体を現し、暴れ始めます。逃げ場を失った明は「悪魔の力を得て人間の心を持つ存在=デビルマン」になることを決意し、悪魔アモンと合体。合体の際に激しい雷とエネルギーがほとばしり、明の体はみるみる筋肉質に変化。赤い瞳と鋭い牙、巨大な翼を持つ「デビルマン」として覚醒します。敵である悪魔を圧倒する強さを見せる明の姿に視聴者は衝撃を受けました。
このシーンは「ヒーロー誕生」として強く印象に残る場面で、力強い演出や作画の迫力も評価されています。
シレーヌとの戦い(第12話)
悪魔シレーヌがデビルマンを倒すために襲来する、シリーズ屈指の名バトルです。シレーヌは美しい女性の姿を持ちながら、巨大な翼と鋭い爪を持つ恐るべき悪魔です。デビルマンとの戦いでは空中戦が繰り広げられ、シレーヌは巧みに翼を使って明を翻弄します。劣勢に立たされる明ですが、シレーヌの弱点を見抜き、最終的にシレーヌを撃破します。しかし、シレーヌは死の間際に「私はデビルマンを愛していた」と語り、敵でありながらデビルマンへの愛情を見せる切ない場面が描かれます。美しさと悲しさが同居するこの戦いは、視聴者に強い印象を残しました。
美しいが恐ろしいシレーヌとの激闘は、作画や演出が秀逸で迫力があります。
美樹と明の束の間の平穏(第20話)
絶え間ない戦いの中で、明と美樹が静かな時間を過ごす感動的なシーンです。明が美樹の家を訪ね、美樹が手料理を振る舞います。美樹は「明くんは優しい人だから」と明を励まし、二人で微笑み合います。このとき、明はデビルマンとしての戦いに疲れ果てていましたが、美樹の存在に癒やされ、再び立ち上がる決意を固めます。
このシーンは、激しい戦闘が続く中での「唯一の心の安らぎ」として、視聴者の心に強く響きました。美樹の笑顔や明の穏やかな表情が印象的な名場面です。
人間の暴走と美樹の死(第38話)
最終回に向けてのクライマックス。人間が暴徒化し、美樹を殺害するショッキングなシーンです。人間たちは悪魔への恐怖から疑心暗鬼になり、美樹を「悪魔の仲間」と誤解して襲います。健作(美樹の弟)は必死に美樹を庇おうとしますが、美樹は目の前で殺されてしまいます。さらに、美樹の首が槍に突き刺され、町中に晒されるという凄惨な結末を迎えます。
このシーンは「トラウマ級」と言われるほど衝撃的で、人間の恐怖や憎しみが生む暴力の恐ろしさを痛烈に描いています。美樹の死は明にとって最も大きな喪失となり、最終決戦へのきっかけとなります。
明と了(サタン)の最終決戦と結末(第39話)
明と了が互いに愛しながらも、敵として対峙しなければならないクライマックスです。デビルマン軍団が壊滅し、明は最後に了(サタン)と直接対決します。二人は激しい戦闘を繰り広げますが、サタンが優勢。明はついに力尽き、了の腕の中で絶命します。了は自分が愛していた明を手にかけたことに気づき、絶望します。明の死後、世界は崩壊し、了は明の亡骸の傍らに横たわりながら、「愛していた」と涙を流します。しかし、明はもう戻らず、了は孤独の中に取り残されます。
このシーンは「愛と破滅」「友情と戦い」というテーマを象徴する場面で、視聴者に強烈な余韻を残します。救いのないラストに、視聴者から「衝撃的」「トラウマ」という声が多数寄せられました。
実写版がひどいといわれている理由
2004年に公開された映画『デビルマン』(監督:那須博之)は、永井豪原作の人気漫画『デビルマン』を実写化した作品として大きな注目を集めました。しかし、公開後は観客やファンから酷評され、「邦画史に残る失敗作」とまで言われることもある伝説的な作品となっています。
その評価の低さには、いくつかの主な理由があります。
1,演技力の問題
主要キャストに当時の人気モデルやアイドルを多く起用しましたが、演技経験が浅い俳優が多く、セリフの棒読みや感情のこもらない演技が目立ちました。特に感情的なシーンやクライマックスでも不自然な演技が多く、観客の没入感を大きく損なってしまいました。
2,CGや映像技術の低品質
原作は悪魔や怪物が激しく戦うダークな世界観が魅力ですが、映画版では当時の技術水準や予算の問題からCGのクオリティが低く、不自然でチープな印象を与えてしまいました。戦闘シーンも迫力に欠け、原作の壮絶な世界観を再現できていないと批判されました。
3,ストーリー構成や脚本の問題
原作の重厚で悲劇的なストーリーが映画では大幅に改変され、説明不足や唐突な展開が多いことが指摘されました。特に原作ファンからは「原作の良さがまったく活かされていない」「感動的なシーンが台無し」といった意見が相次ぎました。
4,作品へのリスペクト不足と感じられる演出
映画全体の演出や映像表現が、原作の持つシリアスさや悲劇性と噛み合わず、むしろ悪ふざけのように受け取られる場面も多くありました。そのため、原作ファンからは「愛のない実写化」として強い反発を受けました。
実写版 総評
このように、実写版『デビルマン』はキャスティング、演技、映像技術、脚本、演出など、映画を構成する多くの要素で問題を抱えており、その総合的な完成度の低さから「ひどい映画」と評価されるようになりました。一方で、そのあまりの出来の悪さが逆に一部ではカルト的な人気を生み、「伝説の迷作」「ネタ映画」として語り継がれています。
見れるVODサイト
おすすめはNetflixです。『DEVILMAN crybaby』は映像表現やストーリーの再解釈が評価されており、初めて『デビルマン』に触れる人にもおすすめです。
まとめ
『デビルマン』は単なるヒーロー作品ではなく、人間の本性や愛と憎しみ、絶望と希望を描いた名作です。明と了の関係性を軸に、悪魔と人間の戦いを通じて「人間とは何か」「善と悪とは何か」という深いテーマが描かれています。
特に衝撃的な最終回は、視聴者に強烈な印象を残しました。美樹の死やサタンの涙など、悲劇的な結末が人間の愚かさと愛の強さを浮き彫りにしています。
関連作品の『デビルマンレディー』や『DEVILMAN crybaby』も原作をベースにした独自の展開があり、ファンにとっては見逃せない作品です。
更新日: 2025-04-11